3Dプリンターの種類と材料

3Dプリンター
テーブルがガタガタ

最近アンテナが下がってしまっていて世間の進化に付いていけてなかったので備忘録も兼ねてまとめてみました。

3Dプリンターの種類

1.FDM(Fused Deposition Modering)

熱可塑性樹脂(高温にすると溶けて冷えると再び固まる樹脂)を使う3Dプリンターです。
家庭用の多くはこのタイプです。
フィラメントと呼ばれる細長い材料を溶かしながら積み重ねて造形します。
造形物の強度もあり使いやすいのが特徴です。
*工業用の3Dプリンター(StratasysのF170 画像はStratasysのHPから)
f170_with_part
*家庭用の3Dプリンター(pursa i3 MK3S)

2.SLA(Stereo Lithography Appuratus)

光硬化樹脂を使用した3Dプリンターです。

2-1.光造形

液体の材料に紫外線やレーザー光線をあてて硬化させる方法です。
家庭用の3Dプリンターもでてきました。
積層痕の少ない精緻な造形が出来るのが特徴です。
FDMより古くから使われていますが造形した物が硬化不足で追硬化が必要であったり変形してしまったりと問題も多かったようです。
*家庭用の光造形3Dプリンター(ANYCUBIC Photon Mono UV)

2-2.インクジェット

材料をヘッドから吐出して紫外線で硬化させて積層していく方法です。
今のところ工業用の大きな物しかありません。
材料はアクリル系が主でしたが最近ではナイロン等の柔軟性のある物もあります。
レイヤー厚が薄く精緻な造形物ができます。
最終製品のみならず射出成型型への応用例等も出てきています。
Objet260
*画像はStrataSysのObjet260(画像はStratasysのHPから)

3.粉体

粉の材料を固めて作る造形法です。

3-1.接着

石膏の粉に色のついた接着剤を吹きつけて固めていきます。
表面が梨地ですがフルカラーの造形ができます。
材料が石膏なので強度は無くあくまで外観のみを再現します。
比較的早く普及しましたが樹脂系に押されてあまり聞かなくなりました。
projet660
*3D SystemsのProjet660(画像は3D SystemsのHPから)

3-2.焼結

金属の粉を溶かして造形します。
これによりこれまでは出来なかった金属の造形が出来るようになりました。
flex-350
*3D SystemsのDmp Flex 350(画像は3D SystemsのHPから)

4.紙積層

印刷したコピー用紙をカットして接着して造形します。
実は早い時期からありましたがあまり普及せず実物を見たのはまだ数回程度です。

この中で現在、実際に模型飛行機用として使えるのはFDM方式です。

材料について

実際に使ってみた事のある材料

1-1.PLA(ポリ乳酸 polylactic acid)

家庭用ではもっとも一般的な材料です。
トウモロコシやサトウキビ等の農産物が原料ですがあくまでプラスチックであって食べられるわけではありません
生分解性があって条件が揃えば微生物などにより分解させることができます。
(通常の状態で生分解されるわけではありません)
最近のプラごみ問題を考えれば最も有利な材料だと考えています。
家庭用から普及が始まり最近では工業用の3Dプリンターでも使えるようになりました。
Uコンの0号機やワイヤーリールに使っているのがこの材料です。
0号機
PLAのリール
*樹脂色は透明です。

1-2.ABS(Acrylonitrile butadiene styrene)

工業用のFDM方式3Dプリンターでは一般的な材料です。
家庭用でも使用できますが造形はやや難しくなります。
柔らかいのでヤスリなどで簡単に削ることができます。
PLAに比べると柔らかいのが災いして剛性感が無く飛行機本体に使うのは不利なようです。
また初期に作ったワイヤーリールのクリップではいつの間にか壊れてしまう事案が発生しており現在は使用をやめています。
ABSのリール
*樹脂色は乳白色です。

1-3.TPU(Thermoplastic polyurethane)

熱可塑性のポリウレタンです。
造形後も柔軟性があります。
タイヤなどへの利用を考えていますがヒンジ等も行けるかもしれません。
印刷も条件さえそろえれば意外と楽に扱えます。
PLA+TPU
TPU

今後使ってみたい材料

1-4.PETG(polyethylene terephthalate glycol)

PETボトルでおなじみの材料です。
PLAとABSの中間のような材料との事でABSより扱いやすくPLAより強度があるとの事です。
(まだ使ったことはありません)

1-5.PC(ポリカーボネート)

ラジコンカーのボディー等でおなじみの高強度材料です。
家庭用の3Dプリンターでも使えるものが出てきましたがそれなりの性能が必要なので低価格のプリンターでは難しそうです。
(まだ使ったことはありません)

1-6.カーボンPLA

炭素繊維を配合したPLAです。
強度もありますが使い方もそれなりに難しくなるようでノズルを高強度の物に変えろと説明されています。
(まだ使ったことはありません)

1-7.LW-PLA

発泡性のPLAで温度によって最高3倍程度に膨らむそうです。
1本購入してみましたがお値段も3倍になる上に強度はやはり落ちるそうで使いどころを考えています。
LWはLightWeightの略です。
LW-PLA

使ってみたい材料(工業用)

1-8.ULTEM1010(ウルテム polyetherimide)

FDM方式では最高強度と言われている材料です。
宇宙船のフェアリングや航空機の部品などで使用されています。
使えるのは工業用3Dプリンターでも最高レベルの物のみで家庭用には当面普及しそうにありません。

今後の希望

数年前はABSとPLAのみだった材料も色々と種類が出てきて性能の向上が著しいです。
模型飛行機のデータ販売も雨後の竹の子の如く増えているのでしばらくは情報収集しつつテストの日々が続きそうですね。
軽さと強さを両立した材料が早く出てきて欲しいものです。

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